Vlogをみるのがすきだ。その人にとってはあたりまえでも、くらしのなかに快適にすごすための工夫がちりばめられている。それを拾い集めるようにみるのだ。
大抵のVlogはおしゃれを演出するために、ある程度の脚色がおこなわれているだろう。それをわかったうえで「こんな素敵な生活をすごしたいな」と夢みるのが心地いい。
そんなおしゃれVlogばかりをみていたが、素のくらしが映されたとあるVlogが気になった。一部始終が記録されて飾り気がなくリアルな分、引っかかる部分があちらこちらにある。
わたしと同じように感じる方がいるだろうと、大量のコメントを漁ってみるも、共感してくれる方はひとりもなし。潔癖症じゃなければ気にならないのかなと、自分のあたりまえとのギャップに驚いた。
帰宅編
潔癖症の人とそうではない人の違いは、帰宅後のすごし方に大きく表れがちだ。
手洗い前は家のものを一切触らない
冷蔵庫から飲み物を取りだす、あらかじめ冷房をオンにするなど、手洗い前に家のなかあるものを触っている様子にフリーズしてしまい、手洗いシーンを見逃したのかと自分を疑った。
いくら外でアルコール除菌したからといっても、手はみえない菌だらけだ。手洗いを挟まずに家のものを触ることはない。
ドアの取っ手や照明のスイッチも例外ではないので、家のなかが真っ暗なときはひじでスイッチを押している。
衣類を脱いで部屋着に
外で着た服のまま、ソファに座ったりベッドに寝転んだりを禁止している。
服を脱いだとて体は汗をかいているので、朝に着ていた部屋着を身につけて休む。余力があれば帰宅後すぐにメイクオフして入浴したいところだが、体力切れでしばらく休むことが多いのだ。このときの部屋着は、入浴のタイミングで洗濯カゴ行きになる。
手洗いうがい
手洗いは“正しい手洗い”をふまえて、爪・指の間、手の甲、手首を念入りに洗う。体調を崩すときに必ずのどがやられるため、うがい薬がマストだ。
手洗いうがいは当然すぎて書く必要があるか? と思ったが、動画内では手洗いをしているのになぜかうがいをせず、そのまま夕食を食べていた。
公共のトイレではハンドソープを使わずに、ちょろっと手をぬらしただけで立ち去る女性を多々みかけるので、コロナ禍を経ても念入りな手洗いうがいしているのは、多数派ではないのかもしれない……
外で使ったものを除菌
入浴してきれいな身にしても、まだ終わらない。バッグと中身がそのままだ。
スマホを含めたバッグの中身一つひとつを、アルコールウェットティッシュで除菌する。スマホは触る頻度が多いので、広範囲のウイルスに効果的な「手ピカスプレー」をアルコールウェットティッシュに吹きかけて使う。
除菌が終わったらまた手を洗い、これにて帰宅後のルーティンは一段落だ。
家のなか編
家のなかは納得の空間が保たれている、いわば安全圏だ。
宅配物
段ボールの宅配物は、家のなかに持ちこむ前にトコジラミが潜んでいないかチェック。問題なければ、あらかじめ新聞紙を敷いた場所に置いて開封する。
動画内で段ボールをカーペットに置いて開封しているのをみて「どこに置かれたのかもわからないものをきれいなカーペットに置くなんて……」と驚愕した。
3つの除菌アイテム
手が届く範囲に、除菌スプレーとウエットティッシュを用意。キッチン用アルコールは、保存容器の除菌やよく触れる場所を拭くために使う。
ポテチに箸
これは潔癖というより、単に手をよごしたくないから使っている。
ちなみに車内にも使い捨て割りばしを常備していて、ポテトを食べるときに重宝している。
おでかけ編
外にでると、自分が潔癖症であることを自覚させられる。
パン屋
パン屋に行くときは、オープンディスプレイかショーケースか事前にチェック。オープンディスプレイなら開店直後に向かい、開店時に間にあわない場合は断念する。
オープンディスプレイであっても、パンが個包装された状態ならOK。パン屋には積極的にショーケースか個包装陳列を導入してほしい。
トイレ
お手洗いからでるためにドアノブや取っ手を触る必要があれば、素手ではなくペーパー越しに触る。
以前、とある飲食店でお手洗いを利用したとき、出入り口のドア前にペーパータオルとゴミ箱が設置されていた。洗面台エリアとは離れているので、なんのためだろうとよく見てみると「ドアの開け閉め時にご利用ください」と案内が。
「手を洗ったばかりのきれいな状態で取っ手を触るのはちょっと……」という気持ちを汲み取ってくれたようで本当に感動した。
電車のつり革、エレベーターのボタン
電車のつり革につかむかどうか、エレベーターのボタンを押せるかどうかは、潔癖症を判断する材料としてあげられがちだ。
どちらも不特定多数の人が触ったことが明らかであり、できれば触りたくない。しかし、わたしは電車のつり革につかまるし、エレベーターのボタンも押している。なぜならつり革をつかまない、ボタンを押さないデメリットのほうが、触れることの不快感を上回るからだ。
つり革につかまらないで誰かに体があたってしまったら迷惑だし、開閉ボタンを押して数秒でも早く目的地に到着したい。
「触れるのは抵抗あるけど触れたほうがいい」というシーンでは、触れる面積を最小限にするマイルールが発動する。中指一本でつり革をつかみ、人差し指の第二関節でボタンを押すのだ。
さいごに
潔癖症だが、周りの人に「なにあの人」と思われるような、ノイズにはなりたくない。
公共の場でなにかに触れるときは手袋を欠かさない、お金の受け渡しはトレー越しじゃなきゃ許さない、一緒にいる人にもアルコール除菌を徹底してもらうなど、過剰なことを強要するつもりは一切ない。
この記事でいくつかあげた行動は、コロナ禍を経て加速したものではなく、コロナのコの字もない頃からはじまっている。コロナ禍で清潔な人とそうでない人の隔たりが明確になり、一層「清潔でいたい」という思いが強まった。
わたしの潔癖症行動の根源は「体調を崩したくない」であり、風邪を発症するリスクを抑えるためのものだ。人よりも風邪をひきやすく、副鼻腔炎まで発症すれば、治るまでに1~2週間かかってしまう。体力・時間・お金、どれも風邪ごときで無駄にしたくない。
潔癖がゆえに疲れてしまうと感じたことはないが、清潔であることを意識せずにくらせる人たちがうらやましいとは思う。風邪を引きにくい体なら、あれこれと考えをめぐらせずに、すごせるのだろうか。